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50MHZ 1kw SSPA(2)

1.使用デバイスについて

 LDMOSの主要メーカー2社より各々1KW以上の出力のデバイスがリリースされていますが、今回はLDMOS FETとしては初めての65V動作可能品であるNXP社のMRFX1K80Hを使用します。Vdd=65Vで動作可能というのは従来のVMOS FET(MRF150やSD2931などが有名)のVdd=50Vよりも高い電圧で動作可能という事であり、出力整合回路に広帯域トランスを使用した場合の巻き線比 vs. 周波数特性のトレードオフを解決できる可能性を含んでいます。


データシートにはなんとVdd=65V動作時に1800W CW出力だと書かれています。しかし本当に無線通信用途(SSB等)での使用時に1800Wもの出力が出せるのでしょうか?
一般的なリニアアンプでは変調信号のIMD特性から許容できる出力はゲインコンプレッション特性でP1dB程度までが使用範囲と言われています。
 
ゲインコンプレッション特性=リニアリティの参考資料としてデータシートに下記のデータが載っています。



このデータを見る限りでは周波数は27MHzですがVdd=50V時でのP1dBは約800W、Vdd=65Vでも約1150W程度です。
Vdd=65Vで1800WはP5dBとリニアアンプとしては非現実的な領域だと思います。
勿論、リニアリティ=歪特性を無視できるモールス信号での通信や、信号の振幅に情報を含んでいない完全なCWでの運用であれば1800W出力は可能です。

また、このデバイスに限った事ではないのですが、高電圧超高出力のLDMOS FETはIdqがFET ダイサイズに比較して非常に少なく設定されています。
結果、小信号時のリニアリティが悪くなり、上記のグラフのように小信号域でもゲイン特性はフラットになりません。

この辺はIdqを増加させる事である程度は改善できる筈なのですが、その場合無信号時(無線機用アンプとして考えるなら受信時)にも大きなIdqが流れてデバイスが発熱するという事ですので、ゲート電圧を送受信に同期させる等の対応策が必要です。

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