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432MHz 500W power Amp Kit-3

本水冷システムの能力は水温的には問題ない(システム内のラジエーターの容量的に)のですが、では本当にデバイスが冷却できているかの確認をしてみました。

確認方法はデバイスのフランジ温度からFETのジャンクション温度を推測する事と、冷却水温度に対してデバイスフランジ温度が適切な関係になっているかを実際に計測してみました。

デバイスフランジ温度はサーモビューにて計測していますが、フランジは金属面ですので下記のよに黒体スプレーを吹いています。ドレインリード部と、パッケージフランジ部分です。

Zoomup_device.png

測定結果です。P01がフランジ温度でS01は四角枠内での最高温度(ドレインリードの取り付け部分?)になります。

500W CW 15秒後 測定温度 : P01:66.18℃、S01:88.87℃

15sec.png

 同30秒後 測定温度 : P01:70.91℃、S01:93.73℃

30sec.png

同5分後 測定温度 : P01:82.41℃、S01:101.99℃

5min.png

同11分後 測定温度 : P01:81.99℃、S01:103.47℃

11min.png

 ちなみに、出力のDCカットコンデンサも高温になっていますが、この部分はサーモラベルで温度確認をした結果では大体100℃前後です。本試験はCWでの連続動作時でのデータですので、実際の使用(SSBやモールス)状況では大分これらの部分の温度は低下すると考えられます。

測定結果からは、動作開始後5分までは温度が上昇していきますが、それ以上では(11分)では熱平衡に達しておりフランジ温度のこれ以上の上昇は確認できません。これは前回の水温の上昇データとも一致しており、500W CW条件での冷却システムとしては5分で熱平衡に達するという事だと思われます。

さて、ではこの温度条件でのデバイス冷却はできているのでしょうか?MRF6VP3450Hのパッケージ熱抵抗はデータシートから0.27℃/Wとなっています。この値は本条件とは規定条件が違いますが、一応データシート記載の最悪値として考えます。実際のSSBなどの低デューティ信号ではもっと低い値です。500W出力時のデバイスドレイン効率は55%(Vdd=50V, Id=18A)ですので、400WがFET DIEで電力消費されています。したがって、FETジャンクション温度とパッケージ間の温度差は400(W) x 0.27(℃/W)で⊿108℃という計算結果になります。この結果からFETジャンクション温度は82(℃)+108(℃)で190℃であり、デバイスのTjmax=225℃以下となります。

また、デバイスパッケージ~ヒートシンク間熱抵抗は、5分以降の熱平衡に達した状態で82(℃)- 40(℃)=42(℃)ですので、ここも42/400=0.105℃/Wとほぼ教科書通りの熱抵抗である事がわかります。この部分は現在はシリコンサーマルグリスを使用していますが、別記事で評価試験を行った液体金属などの熱伝導率の大きな材料を使用すればさらにフランジ温度を低下させる事は可能かもしれません。

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