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430mhz 1kw SSPA (7)

さて、2合成での合成実験をやってみました。

 グラフ中に各ユニット(AMP-1およびAMP-2)の特性と2合成時のパルス測定時、およびCW測定時の入出力特性をプロットしています。パルス信号はパルス幅=200μS/パルス繰り返し周期=1mSのデューティ=20%です。2combined-1.png

この特性を単純にみると、かろうじて入力電力10.5W時に目標の1KWは達成できるようですが、実際にはこの後段にLPFと同軸リレーの挿入損失が入りますのでSSPAとしての出力電力は更に低くなってしまいます。また、1KW出力時のゲインコンプレッションは約3dBですので、この領域ではリニアアンプとしての使用はできません。モールスもしくはフルキャリアでのディジタル通信専用です。仮にSSBなどでの運用に使用する場合にはP1dBで約800Wです。

さてもう少し詳細に上記データを見ていきましょう。CWでの2合成出力=1KW時の入力電力は10.5Wと書きましたが、各アンプユニットには入力の2分配器で2分配(均等分配されている事)されたドライブ電力が加わっています。各ユニットの単体データでは入力電力が10.5/2=5.25Wでは600W弱、生データでは580W程度となっています。仮に出力合成器のロスが無いと仮定すると580x2=1160Wの出力電力が得られなければなりませんが、実測された出力電力ではこれが1000Wです。この差が出力合成器(実際には実験用アンプから出力電力ピックアップ用の方向性結合器までの引き出しケーブルの挿入損失も加わります)の挿入損失(合成損失)という事になります。単純に計算すると約0.65dBです。前回のブログ記事でのSSPAの挿入損失の想定ではこの出力合成器の挿入損失は0.2dBとして計算していますので、現状では0.45dBもロスが多い事になります。

しかし実際には入力分配器の挿入損失も存在します。上の計算では入力分配器のロスは考慮していません。下記に今回使用している入力の2分配器の仕様を示します。

anaren_spec.PNG

 挿入損失が仕様上の最大値ですが0.36dBもあります。さすがにこれは最大値ですので、こんなには無いと思いますが、0.2dB程度はあるかもしれません。更に振幅のアンバランスも±0.15dBの差(最大では0.3dBのレベル差という事)があります。単純計算ですが、入力分配器の挿入損失を0.2dB、振幅のアンバランスを0.2dB(約5%)として各アンプユニット(AMP-1およびAMP-2)の入力電力を計算すると、10.5W(40.2dBm)入力時に各ユニットに均等分配された電力は(40.2-0.2)-3で37dBmとなります。この段階で各ユニット出力は生データから出力電力がは約560Wとなっていますので2合成すると1120Wとなります。更に分配器の分配アンバランス=0.2dBを加味すると、片側ユニットは最悪値として5%(2.5W)低下した時の出力=530W程度となります。この場合出力合成器では低い方の電力に合わされますので、もう一方のユニットが仮に530W以上出力されていても530x2=1060Wの合成出力となります。こうなると出力合成器の挿入損失は約0.25dBという計算結果になりますが、さてさて本当にこの通りなのか?ですね。

さらに、現状に問題点も見えてきました。

出力側整合回路の調整用、DCカット用キャパシタ(ATC社製100B)の温度が高くなりすぎてしまいます。その結果整合回路の定数が変化しますので、飽和特性に変化が出てきています。上記のグラス中のパルス測定時の特性で飽和電力が伸びているのは、この整合用キャパシタの温度による容量変化が少ないからと思われます。本来であれば高熱伝導基板などを使えれば良いのですが、こういったPCBは非常に高価なため簡単には使う事ができません。

現状では120℃の温度ラベルが変色してしまいますので、少なくともそれ以上には温度は上がっています。長期信頼性を考えれば100℃以下にしたい所ですが、アマチュア向けの間欠動作ですので100℃前後までは持っていきたいと思います。

RIMG0344.png

 もし飽和領域での出力特性に整合用キャパシタの温度特性が影響を与えているとすると放熱を強化する事によってSSPA自体の出力特性は更に改善できるかもしれません。目標はSSPA装置出力端で1KWですので、もう少し飽和領域で出力を伸ばしたい所です。

 最後に現段階での高調波特性です。1KW出力時の物ですが、アンプユニット自体が飽和領域で動作していますので、2次高調波レベルが高くなっています。現在直読で2次高調波が-50dBc程度ですが、出力にLPFは入れていませんので今後LPF込みでのデータも取得します。また同様にドライバーアンプ~被測定PA間にも現在手持ちにフィルターが無いため高調波対策はしていませんので、実際にはもう少し良い値かもしれません。アンプユニット単体の高調波特性よりも良いので、出力合成器の周波数特性も関係しているのかもしれません。

 copy182.png

 

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コメント

UFF

もうここまで来ているんですね。今回のコンテストでは明らかにパワー不足を感じました。パラボラ+KWの凄さを痛感したコンテストでした。
1KW連続がベストですが、800W連続でもベターです。そう思えてきました。現段階でも後者はOKですよね。

大久保

初コメントありがとうござます。
PA自体はリニアアンプとして考えなければ1KW連続動作(LPFのロス含まず)でも大丈夫なのですが、さすがにこのパワーになると他に色々な問題が出てきました。上に書いた整合用Cの発熱問題はまだ良いとして、出力電力合成器の出力ラインのパターンがヤバイです。状況は追ってアップします。

  • 2017/11/07 16:27:35

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