50MHz 1KW+ SSPA(5)
2017.09.13
6.高調波とLPFについて

  実機での高調波レベルを測定してみました。ただ手持ちの方向性結合器が~1GHzまでの物で周波数特性が50MHzと100MHz以上の結合量が10dB以上違うため使用不可でした。ですので高調波測定時にはスペアナへのピックアップ用に大電力ATTを使っているのですが、ATTの耐電力の問題で500W CWでの測定になってしまっています。フルパワージには当然高調波はもっと高いレベルになります。

  Vddを50Vから65Vまで5Vステップで変化させた時の高調波のレベルです。

 Vdd=50V, P-out=500W CW


 Vdd=55V, P-out=500W CW


 Vdd=60V, P-out=500W CW


 Vdd=65V, P-out=500W CW


 デバイスは動作時のVddによって飽和パワーが変わってきますので高調波のレベルも変わります。また、出力整合回路は広帯域トランスによる整合回路ですので、高調波という観点からは非常に不利な回路です。しかし、デバイスはプッシュプル構成ですので、2次高調波(偶数次高調波)は教科書の通り低い値になっており、このレベルは動作時Vdd(=飽和出力レベル)には依存していないように見えます。ただし、4次高調波以降ではレベル変化が見られます。3次高調波に間してはVdd=50V→Vdd=65Vで約10dBcの改善がみられますので、こちらは飽和パワーレベルとの関係が大きいようです。これは飽和電力(Vddによって変化する)からのバックオフ量が違うからと推測できます。

 出力LPFについてです。回路シュミレータでの計算結果を示します。回路定数は先日アップしたPA回路図中の物です。



 上記回路の実測データです。



 試作したLPFの写真です。最終的にはPA基板上に実装します。



 LPFを実機に組み込んだ状態での高調波特性です。



 実際には定格出力時の高調波レベルはもっと高いと思われますので出力スプリアス特性がこの通りになるかは不明ですが、回路的には50MHzあたりですとシュミレーション結果と実測データの相関が非常に良いようなので、回路シュミレータ上で目標特性を探る事は容易だと思います。
50MHz 1KW+ SSPA(4)
2017.09.12
4. 出力特性

 現時点では出力LPFは組んでいないため、出力電力には高調波を含んでいるため実際には基本波の電力はもっと出力少ないと思います。またP1dB以上はリニアアンプとして使用不可なので測定していません。





Vdd=65V時の高出力時は電源(1.6KWのワイドレンジ電源)の出力電流が足りなくなるようで25A弱で電流リミットがかかってしまっています。したがって、ゲイン特性が変な形になっています。

5.動作ゲインについて

データシートでは小信号のゲインが33dBほどありますが、さすがに30dBを超えるようなゲインのアンプは50Ω負荷以外での動作(アンテナ接続等)を考えると怖くて使えません。

また、一般的な無線機のドライブ電力は10W程度と思いますのでそのパワーでフルパワーを出せるようにと大分動作ゲインを下げています。
目標は23dB程度としたのですが、現行では26dB程度になっています。

この辺は入力のIRLの改善を含めてもう少しシャント抵抗などの見直しをしても良いかもしれません。
50MHz 1KW+ SSPA(3)
2017.09.07
今回の試作では下記の事に関して実験/評価をしてみたいと考えています。

  1. 50MHz帯でのリニアアンプとしての動作は何Wまで可能?
  2. Vdd=65Vのメリット(出力飽和特性、ドレイン効率、他)
  3. Idqによるリニアリティの改善は可能?
  4. 高調波特性について
  5. 出力トランスは伝送線路?コンベンショナル?インピーダンス変換比は?

 またアンプユニットの冷却は強制水冷をトライします。

2.一応の目標仕様を作成します。
動作時のVddによって当然特性は変化しますので、とりあえずVdd=65Vという事にしています。



3.回路図 (暫定版)

 LDMOS FET使用で且つ広帯域トランスと使用しての整合ですので、アンプ基板上にLPFは作りこむ予定です。

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